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ホームエンジン基礎編



サーモスタットとは?


『サーモスタット』って聞いた事がありますか?

役割を一言で言うと「温度調節機」です。

エンジンに取り付けられているサーモスタットで言えば、エンジン温(水温)の調節を行っています。

身近な例で言えば、『コタツ』や『オーブントースター』などにもサーモスタットはあります。(あるはずです)


急にコタツがやる気を無くした様に、元気が無くなる瞬間ってありませんか?

あれはまさに、温度が上がりすぎた時に設定温度まで下げるために休止しているのです。

家電などに付いているサーモスタットは、基本的にON/OFFで調節しています。
例えば、50度を越えるとOFFし、45度より下がるとONする。
これにより、45〜50度に温度を保つ事ができるのです。

コタツでは、このON/OFFの時に「パチン」という音が聞こえる時もありますね。
まさにサーモスタットが働いている瞬間です。

私はOFFの瞬間が大嫌いです。

「寒いから付けてるのに休むな!」

って心から思います(笑)

家のコタツに関して言えば、OFFした時に足で蹴ってやるとONするんですけどね(爆)


おっと本題から外れてしまいましたね。

今回は車のサーモスタットのお話しです。


サーモスタット サーモスタットの例


サーモスタットが設けてある理由はエンジンが高温になり過ぎないためもありますが、
一般的には『暖機を早める』ためにあります。
暖機とは、エンジンを適温まで温めて燃焼効率を高める事にあります。
また、エンジンが冷えているという事は金属が固い、すなわち摩擦した時に傷が
付きやすい事になります。

このような理由から、暖機は非常に大切なのです。

さて、どの様にして暖機を早めているのでしょうか?


まず、エンジンの冷却系統の基礎からお話ししましょう。

『ラジエータ』

という部品をご存知でしょうか?

中には冷却水(クーラント)が重鎮されており、冷却水はラジエータを通る事で温度を下げます。

冷却水は、エンジンとラジエータ間をエンジン内にある『ウォーターポンプ』により、
強制的に循環しています。

温度を下げるという事は、温度を下げる必要がある時だけ必要となるはずです。

しかし、冷却水はエンジンとラジエータ間を循環している…。

これだと、早く暖機したい時でも冷却水がラジエータを通過してしまい、なかなか
暖機する事ができません。


もうおわかりですか?


エンジンとラジエータ間の入り口(出口)にサーモスタットは配置されています。

つまり、サーモスタットはラジエータへ冷却水を送るかどうかの関門となっているのです。

では、出口側にサーモスタットがある場合を例に取ってイラストを交えて説明してみます。


サーモスタット閉時
暖機したい時(低温時)にはサーモスタット(関門)は閉じており、
冷却水はエンジン内だけを循環する事になります。

サーモスタットの手前までたどり着いた冷却水は行き場を失い、
先へと進む事ができません。


つまり、エンジンの熱を逃がすラジエータを通過した冷却水は
エンジンへと戻る事ができません。


という事は、高温のエンジン内だけを循環している冷却水しか
存在せず、エンジンはすぐに温かくなります。














サーモスタット開時
逆に冷却したいとき(高温時)にはサーモスタットは開いており、
冷却水はラジエータを通過する事になり、エンジンの熱を逃がして
冷却します。
























さて「関門」と表現いたしましたが、まさにその通りなのです。

一定条件(温度)が揃わないと関門は開かず、冷却水はラジエータへたどり着く事ができません。
条件が揃えば「通行許可」が出て、ラジエータへと旅立つ事ができるのです。


それではどうやってサーモスタットは開閉しているのでしょうか???


細かな作動を覚える必要はありませんが、基本的な部分をお話ししますね。

まず、サーモスタットが監視しているのは『温度』です。

温度の変化で自身を変化させるために一番簡単な方法は?

「膨張」「収縮」です。

つまり、温度が上がると膨張し、冷却水が通る道を作るように作動するのです。
温度が下がると元に戻り、冷却水が通る道を防ぐのです。

ここからわかるように、0%と100%の関門ではなく、30%だけ開いている
時もあるのです。

つまり、温度によって関門の開き具合(膨張具合)が微妙に違うので、非常にリアルタイムな
調節が可能なのです。

例を挙げると、

温度 : 開度

65度 : 10%
70度 : 30%
75度 : 60%
80度 : 90%
83度 : 100%


といった感じで、そのときの冷却水温度によって関門の開き具合を変化させて
いるのです。(これはかなり適当な数字ですので気にしないでください)

つまり、温度を下げたい分だけ関門を大きく開くのです。

膨張をサーモスタットの基本動作に用いる事で、家電のようなON/OFFよりも
リアルタイムな制御を行う事ができるのです。

普段は存在感が無い部品ですが、無くてはならない重要部品なのです!


では実際に、エンジンに取り付けられているサーモスタットをご覧下さい。

まずはサーモスタットが入っている卵型のケースがこちらです。


サーモスタットケースサーモスタットケース


サーモスタットは一般的に、このような卵型をしたケースに入っています。
では引き続き、このサーモスタットケースを取り外した状態をご覧下さい。


サーモスタットの取り付け状態サーモスタットの取り付け状態


サーモスタットが鎮座しておりますね〜。
今は水温が完全冷機状態ですので、真ん中にある弁は完全に閉じている状態です。

ではこのサーモスタットを取り外し、サーモスタットケースの内部はどのようになっているかご覧下さい。


冷却水の水路冷却水の水路


奥の方に一つ水路が見えますね。さらに手前にも小さな水路が見えます。
写真には写りませんでしたが、上方向へも水路(ヒーター用)があります。
取り外したサーモスタットケースにも水路が設けられていますので、このサーモスタットを
境にして色々な場所へ冷却水は送られていきます。


さて、このサーモスタットに関わる故障が結構ありますのでお話ししておきます。
しかも夏と冬に気付きやすいのです。

ではまず冬の場合からお話ししましょう。

まず、サーモスタットが壊れるという事はどういうことかを考えて見ましょう。

水路を「開く・閉じる」役割ですから、正常でないという事はこうなります。

・開いたまま閉じない

・閉じたまま開かない


どちらも非常に大変なのですが、まずは冬に気付きやすい理由を解説しましょう。


「開いたまま閉じない」


という事は、常にラジエータへと冷却水が流れ込むわけです。

寒〜い冬なので、エンジンの暖機を待って暖房を付けて…。

と思ってもなかなかエンジンが温まらない!
かなり待って温まっても、暖房が全然効かない!

そうです。外気温が十分に低いのに、はじめからラジエータを通してしまうと
とてつもなく温まらないのです。

でもこの事象は夏だと気付きません。

外気温が温かいので、ラジエータを通してもすぐに温度が上昇します。
しかも暖房では無く冷房を付けます。

これだと、かなり自分の車の状態を把握していないと気付けません。


逆に

「閉じたまま開かない」

これは当然ですが、夏場は非常にデンジャラスです。

ラジエータを通さずに夏場に運転すると、すぐにオーバーヒートします。
エンジンが止まり、夏場の道路上でJAF待ち…。

たまりませんね(汗)

冬はオーバーヒートするほどエンジンが過熱しにくいので、なかなか気付きません。


つまり、サーモスタットが壊れると大変困るのです。


とは言っても、早く走りたい人はサーモスタットを取り外しちゃうんです。

なぜなら、関門というだけあって、冷却水が通る道が狭くなっているのです。
サーモスタット全開状態でもやはり冷却水にとっては障害物。

かなり高回転での走行(高温)を継続する時には本当に邪魔になるんですね。

だから取り外しちゃいます。

どんどん冷却したい状況ですから。

走り出す前(レース前など)にしっかりと暖機しておけば、走行中には全く
サーモスタットが活躍する場はありません。


レースなどの世界では、通常の運転状況とは正反対な場合が多い事がよ〜く
わかりますよね。

考えられない条件で走行しますので、通常の常識は通用しない事が多々あります。

だからおもしろいんですけどね♪

私はかなりのメカ好きなので、レース中に故障すると喜びます。
もちろんレース結果を重視すると駄目な感情なのですが、本能は嘘をつきません。

ライダーさんには深刻な顔を見せておいて、心の中ではガッツポーズ!

これがメカニックの本心かもしれませんよ!?




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