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ホームエンジン基礎編

マフラーとは?
マフラーの非常に初歩的なところをお話しします。(念のため)

マフラーというのは車の一番後ろにひょっこり顔を出している金属のパイプの部分を言います。

顔が出ている部分しか普段はお目にかかれないので、マフラーが実際どのくらい長いのかご存知ない方もいらっしゃると思いますが、とにかく長いです!

エンジンを車の前側(ボンネットの中)に積んでいる車であれば、車の長さの4分の3程度の長さがあります。
マフラーは車両最後部から見えます。
マフラー(サイレンサー)の出口部分
しかし、正確に言えばマフラーの長さは大したことありません。
排気装置としてみれば非常に長いと表現したほうが正しいのです。


「はい?言ってる事が矛盾してませんか!?」


実は…。

一般的にマフラーと表現される場合、排気装置全体を指している場合が多いですが、(これは私の経験上、そう認識している方が多いという事です)本来マフラーと呼ばれる部分は排気装置の最後部にある「消音装置」の事だけを指します。
マフラー(サイレンサー)
マフラー(サイレンサー)
エンジンは

『空気を吸って、ガソリンと吸い込んだ空気とを混合して火をつけて爆発させ、爆発した後の燃焼ガス(排気ガス)を吐きだす』

という流れを連続的に繰り返していますが、爆発することによって生じる音というのは非常に大きなものです。

エンジンが吐いた燃焼ガスが通る道を総称して排気装置といいますが、マフラーはとにかく音を消す役割をしています。


本来、排気装置というのは主に3つの部分で構成されています。
エンジンに近い部分から順に挙げると、


エキゾーストマニホールド(エキマニ)

・エキゾースト パイプ

・サイレンサー(正確にはこの部分だけをマフラーと言います)


となっています。
エキマニ〜マフラー(排気装置)の全体図
エキマニ〜マフラーまでの全体図例です
エキゾーストと言うと聞き慣れない言葉なので難しく感じやすいですが、単純に「排気」という意味だと考えてください。つまり、

・エキゾーストマニホールド「排気多岐管(足がいっぱいある管)

・エキゾーストパイプ「排気管」

・サイレンサー(マフラー)「消音装置」 ⇒「静寂」を意味するサイレンスから

となるのです。


エキゾーストマニホールドを交換したチューニングというのはもちろん効果大なのですが、今回は説明上あえて省略させていただきますね。
今回はマフラーを考える際に非常に重要な 『 大きい音の意味 』 に注目していきます。

音が大きいという事は、先述したサイレンサー(消音装置)が機能していない事になりますよね。
大雑把に言うとその通りです。


どうして機能していないか?

いや機能させていないか?



それをちゃんと理解するために消音のメカニズムをお話ししましょう☆
もちろんわかりやすい例を交えていきますよ〜♪


あなたは次の日早起きする必要があるので、早々と寝室で寝に入りました。
でも、隣の部屋では大きな音でテレビを付けている家族がいます。


「わはははは〜! (≧∇≦ )人( ≧∇≦) 」


どうやらお笑い系テレビを見ているらしく、笑い声がうるさくてとても寝られる状況ではありません…。
そこで部屋を見渡した所、隣の部屋とつながっているドアが全開だった事に気付きました(汗)


これはまずい!という事で、早速ドアを閉めました。


すると、何という事でしょう!


先程と比べてあきらかに静かになったではありませんか♪
ドア(仕切り)を1枚作っただけで大きく音が小さくなったのです!(消音効果)



ここまでイメージできましたか?
イメージできればもうサイレンサーを分かったも同然です☆ミ


実際にサイレンサーの中には多数の仕切り(ドア)が作られています。

でもここで一つ注意。

消音したいとはいえ、本来の目的である『排気』ができなければ意味が無くなってしまいますので、仕切り(ドア)を完全に閉める事はできません。。。

しかし、『ドアが全開状態』と比べて『少しの隙間がある状態』の方が音は小さくなりますよね。


サイレンサーは少しの隙間(出口)を用意した仕切りを迷路のようにたくさん作っています。
そのため、出てくる音は元の音に比べて非常に小さな物になります。
マフラーの内部構造例
マフラーの内部構造例です
図の例では、左側から排気ガスが進入して最終的に右側に抜けています。

右にいって左にいってまた右にいって…まるで迷路みたいですよね(笑)

これだけ行ったりきたりしますので、出口である右側の時にはかなり消音されていることになります。


それに加えて、吸音材という物を入れる事で音波を吸収しています。
さらに、音の原因で一番厄介な『排気圧力』を下げるための工夫もされています。
詳しく話しすぎると難しくなりすぎますので、最低限必要なレベルのみお話ししていきましょう。


今回の説明に必要なのは『仕切り』の必要性です。

車好き、レースの世界などにおいてはこの仕切りというのが非常に邪魔なのです。


それはなぜか?


またイメージしてくださいね。

毎度お馴染み!? 『注射器』の登場です。

今回は先端がかなり細い注射器と、かなり太い注射器の2つをイメージしてください。

この二つの注射器に水を満タンにして、水鉄砲のように頭の血管が切れそうなくらい強い力で水を噴射(押し出す)したとします。


先端が細い注射器はどれだけ力を込めて水を発射しても、水の出(量)が悪いです。
逆に太い注射器は細い方に比べて思いっきり水が出ますよね。

さて、速く走りたい(レース等)という事は一体どういうことかを考えてください。
あきらかに普通の時よりもエンジンを回しますよね♪

エンジンが回るという事は、それだけ大量の空気を吸って吐いています。
この時、大量の空気を吐く(排気)時に出口が狭かったらどうでしょうか?

大きな抵抗となって吐きたくても吐けない状態になりますよね。(排気抵抗大)

つまり先ほどの先端が細い注射器状態です。
細い注射器はどれだけ強く押そうが、出てくる水の量はある一定以上増えません。
つまり、ノーマルのマフラー(仕切りだらけ)では排気時に抵抗が大きく、ストレス無くエンジンを高回転まで回す事が困難になるのです。

それならば、その抵抗(仕切り)を取っちゃえ!ということで、仕切りが少ないマフラーに交換するのです。
そうすれば、エンジンをぶん回した時(高回転時)のストレスが大幅に減り、スムーズにエンジンが高回転まで回る事になりますよね♪

ここでのデメリットというのが、音を消す為に付けていた仕切りを無くす事で発生する「大きな音」です。
レースのみでの使用であれば、全く問題にはならないのですが、町中でこの類のマフラーを装着すると迷惑となります。。。
さらに大きなデメリットがあります。
それはレースの世界ではほとんど関係ないのですが、町乗りで使用する時に大きく関係します。
さて、もう一度先ほど出てきた注射器を思い出してください。

次は注射器から噴射する『水の勢い』をイメージしてくださいね。

先が細い注射器は、『弱い力』でもそれなりに水が勢いよく噴射します。
でも太い注射器は、『弱い力』の時には水が勢いよく噴射しません。(垂れ流しのようになりますね)
勢いを出すためには、ある程度『強い力』が必要となります。

ここで、『弱い力』・『強い力』というのを『低回転』・『高回転』に置き換えて見てください。また、『水の勢い』というのを『車の勢い(加速)』に置き換えて見てください。

先が細い注射器、つまり抵抗(仕切り)が多いマフラーは、弱い力(低回転)での車の勢い(加速感)が良いのです。
先が太い注射器(抵抗が少ないマフラー)は逆に、弱い力(低回転)での車の勢い(加速感)が悪いのです。

町乗りという事は、信号待ちで停止したり「止まれ」の標識で停止したりと頻繁に停止状態からの発進を行います。

発進のたびに加速感が少ないというのは非常にストレスが溜まるものです…。
さらに、加速感がないのでついついアクセルを踏み込みます。これが非常に燃費が悪化する原因となるのです。

以上からわかるように、低回転を重視するか高回転を重視するかでマフラーの構造が大きく変わります。つまり、仕切り(抵抗)をどのくらい入れるかという事です。

◎ 低回転を重視する=抵抗(仕切り)を増やす=『音が小さくなる』

という観点も重要だという事ですね。


同じエンジンに取り付けるマフラーであれば、低回転+高回転の性能の合計というのはそんなに変わりません。
※ターボ車は無視してくださいね

わかりやすく数字をいれるとこうなります。

マフラーの基本性能を10とすると、


・低回転が3で高回転が7 (スポーツマフラーはこんな感じかな)

・低回転が5で高回転が5 (ノーマルマフラーですかね)

・低回転が1で高回転が9 (バリバリのレース使用ですね)


世の中には様々なメーカーから非常に多種類のマフラーが出回っていますが、基本的には上記のバランスの違いが大きいと言えます。(後はデザインや重さなど)

先述した例にある「基本性能10」という部分を色々な工夫をして、11や12に増やす事もメーカーの売りです。(大半が高価ですが)
例えば軽い素材を使ったり、マフラーのレイアウトを変えたり排気効率を高めたりです。

このように車の性能を考えたマフラー交換であればまだいいのですが。。。
最近はそうではないマフラーが多数あります。


それは…。


音とデザイン重視!


たしかにこれも一つの車の楽しみ方なのですが、基本性能を落としてしまう可能性が高いのです…。


・デザインの為にレイアウトを大きく変えて…。

・とにかく太いほうがかっこいい!



みたいな事になると、基本性能はとかになってしまいます。


太いという事は低回転が遅い!とお話ししましたが、この状態で町乗りするとすごく燃費が悪くなります。
それは、周囲の車の加速にあわせた運転をするのが基本ですので、加速が遅い分を補う為に無意識に多くアクセルを踏んでいるのです。
アクセルの踏む量とガソリンの使用量は比例しますので、同じスピードで走っていても、ノーマルのマフラーと比べてガソリンの消費量が増えます。

最後にもう一つおまけ。

気になった方もいらっしゃると思うのですが、レース用のマフラーのバランスについてです。


「低回転が1で高回転が9」


こんなんじゃ発進が遅くて駄目なんじゃないの!?と思うかもしれませんがそんなことはありません(笑)

なぜなら、レースで走っている時間が1時間だとすると、レース車が停止状態から発進する時間って「レーススタート!」の瞬間だけですよね♪

スタート時以外はずっと高回転で走り続けるわけです。
その瞬間のためだけに低回転の性能を割り振る事は逆にロスになります。
町乗りの事なんかもちろん視野にいれてませんから全く問題ないという事です( ̄▽ ̄)

結論を申し上げます。

・マフラーをうるさくしたい理由は高回転の力が欲しいから!(理解している場合のみ)

・ドレスアップを重視しすぎるとパワーロスが大きい!

・デザインはどうであれ、町乗りにはノーマルが最高のバランス!

・マフラーを選ぶ時はバランスを意識する!

・低回転に割り振るほど音が小さくなる!



余談ですが、私の装着しているマフラーは

「低回転4 高回転6」

くらいです。

町乗りする以上は周囲への迷惑も考えないといけませんし、低回転が弱いとストレスが溜まってしまいますからね☆
自動車整備士3級〜2級レベルのエンジン基礎編として、アイティメディア社が運営しているモノイストというサイトに『今さら聞けないエンジン構造』という内容で記事連載をしております。
当サイトよりも更に高いレベルをお望みの方はこちらもご覧ください。

・第一回 ピストンが傷だらけなのにも、理由がある
・第二回 本田宗一郎も苦戦したピストンリングの設計
・第三回 縦置き直6サイコー!? シリンダ(気筒)の基本
・第四回 NSXはチタン製コンロッド採用でエンジン性能UP
・第五回 クランクシャフトはオイルクリアランスに要注意
・第六回 BMWの燃費向上の秘密は、バルブトロニック
・第七回 カムシャフトを2本にするか、1本にするか
・第八回 タイミングベルト、まだ使っているの?
・第九回 「バルブタイミング=0°」とはどういう状態か?
・第十回 GMや日産が苦心したVTCの原理とは
・最終回 ガソリンエンジンがなくなる日は、きっと来る

・2010年 学生フォーミュラ優勝チーム(大阪大学)のレポート記事
 ⇒阪大、初の日本一! ほんまに車が好っきやねん

・2012年 学生フォーミュラ優勝チーム(京都工芸繊維大学)のレポート記事
 トラブルがなければ絶対上位に行ける!
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