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ホームエンジン基礎編



アクセルを踏むと加速するのはなぜ?


車を運転している際に無意識で行っているアクセル操作。

確かに当たり前のように車は加速しますが、どのようなメカニズムを元に車が加速しているのか
をこのページではご説明していきます。

これからお話しする内容は本当に一瞬で行われている事ですので、実際には同時に
起こっているように見えます。
また、大前提として最近の車では標準装備となっている

・アクセル開度を検出するセンサー(アクセルポジションセンサー)
・スロットルバルブを電気的に駆動しているシステム
(ドライブバイワイヤー:DBW)

を装備している車をベースにお話しします。


まず基本的な「混合気」についてからお話ししていきますね。

エンジンが「ガソリンと空気(酸素)の混合気の爆発」によって動いているというのは
何となくご存知だと思います。4ストロークエンジンとは?

この混合気というのは非常に繊細であり、「空気の量:ガソリンの量」の比率が変化すると
エンジンの回転数は変化します。

当然ではありますが、ガソリンの量が増えると爆発力が増えてエンジン回転は上昇します。
逆に吸入空気が増えてもエンジン回転は上昇します。
ただし燃焼できる空気とガソリンとの混合比率の範囲はある程度決まっていますので、
どちらかだけが限度以上に増減すると不完全燃焼が発生します。

これを踏まえて本題と移っていきます。
※車の電子制御方法は車種などによって異なりますので、全てが以下の制御を行っているわけではありません。


ではまず、「アクセル全閉状態」であるアイドリング状態(信号待ちなど)から見ていきましょう。

アイドリング状態は、エンジンが自然に回転数を維持する(上昇下降しない)絶妙なガソリン噴射と
吸気を行い、エンストしない状態を作り上げています。
これはエンジンが回転する際に生じる抵抗(摩擦など)爆発力とが吊り合っている状態であり、
エンジンとしては最も不安定な状態(タフネスが弱い)と言えます。


アイドリング状態(DBW)
アイドリング状態(DBW)


上のイラストはアイドリング状態のイメージ図ですが、スロットルバルブが少しだけ開いている事が
何となくお分かりいただけますでしょうか。(全閉だとバルブは垂直です)

スロットルバルブがほんの少し開いている事で、僅かな隙間から吸気されていますね。
その吸気量に対して、インジェクタからガソリンが噴射されています。
参考までに、実際のアイドリング状態におけるスロットルバルブの状態をご覧いただきましょう。


アイドリング状態のスロットルバルブ
アイドリング状態のスロットルバルブ


ほんの少しだけ開いているのがお分かりいただけますでしょうか???

なお、ドライブバイワイヤ方式(以下DBW)ではアイドリングに必要な吸気量を確保するために、
スロットルバルブ開度を微調整しています。
過去のワイヤー方式の場合は、アクセル操作が無ければスロットルバルブが動かない為、アイドリング
でのエンジン回転数を調整するための吸気通路を別機構で設け、吸気量を調整しています。

このアイドリング時のガソリン噴射量を1、吸気量を1とします。
【参考】最も効率が良い混合比はガソリン:空気=1:14.7と言われています。

この混合気で発生する爆発力とエンジンが回転する際に生じる抵抗が吊り合った時、安定した
アイドリングを行えるという事です。

この時にエアコンなどを使用すると、当然エンジンへの負担が大きくなりますね。
負担が大きくなるという事は現在の混合気では爆発力が足りなくなり、エンジン回転は下がって
最悪の場合エンストに至ります…。
そのため、エアコン使用時などエンジンの負担が増えた事を検知すると、必要な分だけ混合気量を
増やして爆発力を増加させます。

エアコンだけでなく、エンジンに負担が掛かる要素は様々あります。
それらを瞬時に検知し、エンストしないように自動的にアイドリング回転数を調整してくれているのです。

ここでは混合気量が増えるメカニズムを順番にご紹介したいと思います。


ではまずアクセルペダルを「1/8」踏み込んだとしましょう。

先述したように、最近の車はセンサーを使って「アクセル開度」を検出しています。

アクセルを踏み込む操作は運転手が「加速したい」という意思がある時に行われる物ですので、
アクセルポジションセンサーがアクセル開度増を検出し、ECUと呼ばれるコンピュータに信号が
入力された時点で

・燃料増量信号
・スロットルバルブ開信号


がほぼ同時に出されます。

燃料増量信号を受けるのはフューエルインジェクタという燃料噴射装置で、スロットルバルブ開信号
を受けるのはスロットルボディとなります。

フューエルインジェクタ(燃料噴射装置)
フューエルインジェクタ(燃料噴射装置)

スロットルボディ(DBW)
スロットルボディ(DBW)


燃料増量信号を受けたフューエルインジェクタは、ガソリン噴射量を強制的に増やします。
それと同時に、スロットルバルブも開かれます。(昔はこの作業を自然の原理を使って行っていました)

これにより、

ガソリン噴射量1.5、吸気量1

となったと仮定しましょう。(超一瞬の出来事ですよ〜)


すると、空気の量が少ないとは言え、非常に燃えやすい物質であるガソリンが追加
されたわけですから、当然のように「爆発量、爆発力」が向上します。
それによって必然的にピストンを押し下げる力が増える事になりますので、エンジンの
回転数が増えます。

さらに同時に、スロットルバルブが開かれた事で吸気量が増えますね。

この瞬間、

ガソリン噴射量1.5、吸気量2

になっていると考えてください。

吸気量が増えたことをセンサー(エアフローメータや吸気圧センサなど)が検知すると、
吸気量に合わせたガソリン噴射量をECUが瞬時に計算し、フューエルインジェクタに
燃料噴射量信号を送ります。

これでようやく

「ガソリン噴射量2 吸気量2」

に瞬時になったわけですね。


アクセルを1/8踏み込んだ状態
アクセルを1/8踏み込んだ状態


エンジンはこの時の混合気量で取り出せる限界の爆発力まで回転上昇を続けます。

この時(開度1/8)のスロットルバルブの開き具合はこのようなイメージです。


1/8開度のスロットルバルブ
1/8開度のスロットルバルブ


指を挟み込んで何となくイメージ画像を取りましたが、かなり痛いんですよね…。
スロットルバルブが戻らなくなる事は非常に危険な状態となりますので、かなり強力な
スプリングが内蔵されている事で「戻ろう!」とする力がかなり強いです。

ついでにアクセルペダル全開状態のスロットルバルブの状態もご覧いただきましょう。


アクセル全開状態のスロットルバルブ
アクセル全開状態のスロットルバルブ


ちなみに何度も言いますが、これらDBWの制御方法はECUのプログラムや制御方法
などによって異なりますので、参考程度に捉えていただければと思います。


アイドリング状態に比べて吸気量とガソリン噴射量共に倍になった訳ですから、当然
エンジンの回転数は上昇します。

エンジン回転が上昇する=タイヤの回転数が上昇する

という事になりますので、アクセルを踏むと加速するという事になるわけです。

エンジン回転数と車速との関係は「変速比、減速比とは?」でご紹介していますので
ご存知無い方はご覧下さい。


エンジン回転数に関してですが、基本的には「吸気量に比例する」と考えてください。

ガソリン噴射量というのは「吸気量に合わせて計算を行う」という基本がありますので、
スロットルバルブの開度によって吸気口の面積を変化させ、エンジン回転数を調整しているのです。

アクセル全開状態でもエンジン回転数に限界がある理由は、その車に装着されている
スロットルボディやインテークマニホールドの内径に応じて吸気限界量が決まるからです。

最高回転数を左右する部分はこれだけではありませんが、そのほとんどが吸気量によって
左右されると考えていただいて間違いないと思います。

ただし吸気系統だけを強化(大径化など)してしまうと、他の部品が追従できない可能性も考えられます。

もしイメージ通りに最高エンジン回転数が上昇したとしても、その領域に耐えうるエンジン
でなければ一気に壊れます…。何事もバランスが大切という事ですね。


これらを全て踏まえてもう一度加速の順序を追ってみますと、

1.アクセルを踏み込む

2.ガソリン噴射量&吸気口面積の増加

3.吸気量増加&ガソリン噴射量の計算・噴射

4.ピストンスピード増加(エンジン回転数上昇開始)

5.この時のアクセル開度での「混合気量」の限界まで加速継続


となります。

本当のエンジンの限界という意味も含めれば、どれだけガソリン量&吸気量を増やしても
そのエンジンが耐えれる回転数までしか上昇しません。
高回転は各部への負担が大きく、エンジンが破損してしまうような回転数に達し無いように
「回転数制御」されています。(これをリミッターといいます)
もしくはあまりの回転数の速さに各作動が間に合わず、それ以上回転数が上昇できない
という現象もあります。


とまぁ詳しく話ししているとキリがありませんので、この辺にしておきましょう。

ここまで話しておいて変な事を言うようですが、本当に一瞬の出来事なので実際には
アクセルを踏み込んだ瞬間にエンジン回転は上昇します。

あくまでも意図的に時系列でお話ししただけですので、

アクセルを踏むとスロットルバルブが開いて吸気量が増え、その時の吸気量にあわせたガソリンが噴射される。

という解釈で十分です。



ついでにおまけです…。


「エンジン始動時の電気の流れ」

もざっとお話ししておきますね。


1.メインスイッチONでフューエルポンプがガソリン圧を強制的に上昇させる。

1−2.信号が入ればすぐに噴射できるように、フューエルインジェクションが待機

2.バッテリの電気でスタータがエンジンを強制的に回す。(まだガソリン無し)

3.エンジンが動いた事でオルタネータが発電開始。

4.ピストンの位置をセンサーが検知し、ガソリン噴射タイミングをECUが送信

5.オルタネータ&バッテリの電気でガソリン噴射

6.オルタネータ&バッテリの電気で点火

7.ガソリン爆発⇒エンジン始動!

8.その後はオルタネータからの電気のみで噴射&点火


以上、おまけでした〜♪




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