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スタータ(セル)とは?


自動車整備士3級〜2級レベルの電子装置基礎編として、アイティメディア社が運営しているモノイストというサイトに『今さら聞けない電装部品入門』という内容で記事連載をしております。
当サイトよりも更に高いレベルをお望みの方はこちらもご覧ください。

・第一回 自動車唯一の電源、鉛バッテリの仕組み
・第二回 エコカーとともに進化する鉛バッテリー
・第三回 オルタネータが生み出す電気が無ければ車は走れない
・第四回 激化する燃費戦争、発電だけではなくなったオルタネータの役割
・第五回 大解剖!スターターの仕組み 前編
・第六回 アイドルストップシステムの普及がもたらすスターターの革新 後編
・第七回 エンジン点火に必要な電圧は数万V! イグニッションコイルの役割
・第八回 さらばディストリビューター、点火タイミングは電子制御で最適化する時代に
・第九回 すごいぞスパークプラグ、2000℃に加熱してから急冷して高圧を掛けても壊れない
・第十回 ドライブバイワイヤの生みの親は自動変速機!?
・第十一回 自動ブレーキも横滑り防止装置も、ドライブバイワイヤあってのものだね
・第十二回 エアバッグの前に付く「SRS」の意味を理解しよう
・第十三回 エアバッグが開かないのは衝突安全ボディのせい!?
・第十四回 エアバッグ展開時の衝撃力はウサイン・ボルトの全力タックルと同じ




エンジンを始動するために無くてはならない物。

それが『スタータ』(通称セルとも言います)です。


鍵を差し込んでひねると

「キュルキュルキュル」

といってエンジンがかかりますよね。(ボタン式などの例外もありますが)


キュルキュルしているのがスタータです。


スタータの例ですスタータの例です


スタータバッテリの力を使ってエンジンを直接回しているのです。

スタータを語る時に無くてはならないもの、それはバッテリです。

スタータが動くかどうかは全てバッテリの力にかかっています。
スタータが壊れるというのは滅多にありません。

スタータが回らなくなった時、まず

「バッテリがあがった!?」

と思うのは当然ですよね。


つまり、バッテリの特性さえ掴んでいればスタータに困る事はほとんど無いのです。

とは言ってもバッテリは定期的に交換する物ですからスタータが正常に回らなくなった
らお早めに交換してくださいね。

まぁ私はタフマンKを導入しているのでバッテリ交換はほぼ不要ですけど(笑)


勘違いしている方がちらほら見えますので、再度エンジン始動と電気の関係を少しだけ。
すでにご存知の方はスルーしてくださいね。

バッテリが上がってしまうとエンジンを始動する事ができませんよね?
さらに言えば、走行中に何らかのトラブルがあってバッテリが上がって
しまうとエンストしてしまいます(怖)

このトラブルの原因はこの「オルタネータ」という発電機が何らかの理由で
電気を発電しなくなる事に起因します。(写真に写っているベルトが切れるなど)

エンジンが回転する事により、常にエンジンは「発電」しています。
この発電された電気で「スパークプラグの火花」を飛ばしたり「ガソリン噴射」
をしている「インジェクタ」と呼ばれる部品に電気をおくったり「ライト点灯」
したりしています。
要は車で使用する電気はこの「オルタネータ」が発電した電気によって
供給されているのです。
しかしこのオルタネータが発電するためにはエンジンが回転している必要が
あります。
ですので、エンジンが停止している状態ではオルタネータは何も活動できず、
エンジン始動するための電気を供給する事ができません。
そこでエンジンを始動するための「スタータ」を動かすために「バッテリ」が
必要となるのです。

オルタネータは大量の電気を発電しますので、普通に車に乗っている程度なら
絶対に電気が余ります。
この余った電気をバッテリに充電することにより、バッテリを長期的に使用できる
ようなシステムが成り立っているのです。


それでは電気を中心にしたエンジンの作動を説明します。

@バッテリの電気でスタータがエンジン(ピストンなど)を強制的に回す。(まだガソリン無し)

Aエンジンが動いた事でオルタネータが発電開始。

Bオルタネータ&バッテリの電気でガソリン噴射

Cオルタネータ&バッテリの電気で点火

Dガソリン爆発⇒エンジン始動!

Eその後はオルタネータからの電気のみで噴射&点火

F特例として、発電量を上回る電気使用時はバッテリが電気供給

となるのです。

もちろん一瞬の出来事ですよ。

スタータはあくまでもエンジンを回すだけで、エンジンが回る事で様々な部品が
活動を始めてエンジン始動に至るという事です。


しかし、ただエンジンを回すと言ってもかなり大変なのです。
まず、エンジンを回転させる事の大変さをお話ししましょう。


『起動力(起動トルク)』

と表現されるものがあります。

これは、物を動かす瞬間に必要な力の事です。

分かりやすい物を例に出すと、やっぱり自転車でしょうか(笑)


自転車のペダルをこぐ際に一番力が必要なのは???


もちろん一番初めのこぎ始めですよね。

こぎ始めが難しくて、子供が自転車を練習すると言っても過言では無いでしょう。

自転車が動き始めれば、始めとは比べ物にならない位軽い力でペダルをこぐだけ
で進んでいきます。

この『起動力』は、あらゆる物に当てはまります。

例えばタンスを押すとき、冷蔵庫を押すとき、ピアノを押すとき…。

動き始めるまでが大変なんですよね。

車を押した経験がある方は特にわかるでしょう。

動くまでが本当に大変!

でも動き出すと軽い力で動かす事ができます。


つまり、エンジンもこれと同じなのです。

バッテリの力が弱く、スタータがいまいち動かない時に少しでもエンジンが回転して
くれれば、エンジンが始動する可能性は高いのです。

初めに一番力を使う。

事を意識していると、いざと言う時に役に立つ知識があります。


また少しバッテリの話しになってしまいますが、バッテリと言うのは少し待つと力が
回復します。(全開にはなりませんが)

一度スタータを回してエンジンがかからず、かなり回転力が落ちた時があるとします。

バッテリは連続して電気を使用すると、熱が発生して思うような力を発揮できません。

なので、少し時間を置いて冷ましてやると、また力が戻ってきます。

エンジンを回転させるには、起動力が重要なのは先述したとおりですよね。

少し待ってバッテリの力を溜めて、一気に爆発させた方がエンジンはかかりやすいのです。


まんべんなく回転させるより、瞬間的に力を入れたほうが効率がいいんですね。



次に、スタータが壊れる原因をお話しします。

まず、基本的なスタータの動きを説明しましょう。


1.鍵を回すと、スタータの先端(ギヤ)が伸びてエンジン内のギヤ(歯車)に噛み込みます。

スタータ 作動開始

2.それと同時にスタータのギヤが回転し、エンジンのギヤが回されてエンジンが始動します。
⇒外部的にエンジンを回す事をクランキングと言います

スタータ エンジン始動

3.鍵を元の位置に戻すと、伸びていた先端が元に戻る。

スタータ 作動終了

この様な流れになっています。


ちょっと豆知識
上のイラストにあるスタータのギヤをピニオンギヤ(一番上の写真にも写っています)、エンジンのギヤを
リングギヤ(フライホイールの周囲)
と言います。


リングギヤ(フライホイール)の例リングギヤ(フライホイール)の例


一般的にスタータは、エンジンを200〜300回転させます。

エンジンが始動すると、アイドリングでも最低600回転ほど回ります。

つまり、エンジンが始動した瞬間にスタータの回転力を大幅に上回る回転力で
回り始めるわけです。

もちろんコレを考慮して、一定以上の回転力が加わると空回りするように作られています。

この機構を『オーバランニングクラッチ』と言います。

エンジン回転によってスタータが壊れないように考えられているのです。

しかし、これはあくまでもアイドリング時の回転数レベルでのお話し。


もしも普通に運転(走行)している時に、誤って鍵をひねってしまったら…。

もちろんスタータの先端が伸びて、高速回転しているエンジンのギヤの中に飛び込みます。
この時点で、ギヤ同時が衝突して破損する可能性がありますね。

さらに走行中の回転数だと、オーバランニングクラッチの許容外となり、破壊する事もあります。

この例が発生する可能性は限りなく低いです。あきらかに運転手の過失ですのでご注意ください。



次に、結構ありがちな例です。

エンジンを始動したのに、始動した事を忘れてもう一度鍵をひねってしまう事ありませんか?

原因は色々あると思います。

例えば、

・オーディオの音量が大きすぎてエンジンがかかったことに気付かず、
 もう一度鍵をひねった。

・エンジンをかけてすぐに他の用事をしていて、エンジンをかけた事を忘れて
 もう一度鍵をひねった。


などたくさんありますよね。

アイドリング回転数レベルなので問題が無さそうですが、実は普通にエンジンをかけた時
とは大きく違う状況なのです。


・回転している最中に回転数が上がる(普段のエンジン始動)

・回転している所に突進する(始動後に鍵をひねる)


この二つは大きな違いがありますよね。

アイドリング回転数とはいえ、回転している所にギヤを突っ込むのですから
想像しただけでもギヤが痛そうです(涙)

結構な大きい音が鳴りますので、ついついドキッとしてしまいますね(汗)



数回であればなんとか助かるかもしれませんが、あまり多発しているとギヤが
磨り減ってしまったり、割れてしまう事もあります。

そうなると一大事!

エンジンがかからないのはもちろん、割れたギヤを探すためのエンジン分解!
なんて事もありえます。

少なくてもスタータ交換。多くて交換+エンジンの部品も交換。


最悪ですよね?


人間である以上、ミスはありますが極力ミスしない心がけをお願いします。

エンジンがかかっているかどうかは、メーターで確認するだけで防げます。

冷静なエンジン始動を心がけましょう♪

人間がミスをするのは当たり前です。
生まれてから一度もミスした事が無いなんて人はまずいないでしょう。
車の操作でもミスをしてしまう事が多々あります。

つまり、ミスによる事故を未然に防ぐ事も非常に重要なのです。

そこで、車には様々な安全装置が設けてあるのです。


NEXT⇒安全装置へ




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