まずディスクブレーキとドラムブレーキのメリットとデメリットをお話ししていきましょう。
【ディスクブレーキ】 ディスクが外に設置されており、繰り返しブレーキを使用しても放熱性に優れているので 熱による制動力(ブレーキ力)変化が少ないです。 ただし、単純にディスクを挟み込む構造なのでブレーキ力はドラムブレーキに比べると劣ります。 とは言っても、前に進もうとする力を熱に変えるのがブレーキの原理ですので、熱に強い ディスクブレーキは理想的なブレーキ装置と言えます。 |
【ドラムブレーキ】 ドラムと呼ばれる円盤状のケースに密封されたブレーキ装置のため、放熱性が悪く繰り返し ブレーキを使用すると制動力が低下してきます。 ただし、タイヤの回転力に応じてブレーキが食い込む構造であるため、非常にブレーキ力は強いです。 |
現在のブレーキ装置は「ディスクブレーキ」が主流となっておりますが、昔は
断然ドラムブレーキの方が主流でした。
確かに理論的にはディスクブレーキの方がブレーキ装置として理想的だったのですが、ブレーキパッドの
素材に苦労した経緯があるようです。
単純に挟み込むだけですのでブレーキ力があまりなく、ブレーキ力を高めるためにパッドの素材を
変更すると擦り減り具合がとても早くなってしまい…という感じでなかなか両方の条件を満たす素材が
見つからなかったようですね。もちろん他の理由も多々ありますが。
逆にドラムブレーキは擦り減りにくい素材を使用しても、構造的に十分な制動力を得る事ができたようです。
今でも後輪ブレーキに採用されておりますが、これは単純にブレーキ装置全体でみると安価で成立する事と、
あまりハードな運転状況下で使用されないと思われる車にのみ採用されていますね。
さてさて、2種類のブレーキ装置の簡単な違いをお話ししておりますが、さらにイメージを進めていただくために
両方のブレーキ装置を見た目で比べましょう。
ディスクブレーキの例
こちらが最近主流となっているディスクブレーキです。
ディスクブレーキがいまいち分からない方はこちらをどうぞ⇒ディスクブレーキとは?
挟む方のブレーキパッド、挟まれる方のブレーキディスク共に丸出しですね。
ドラムブレーキの例
こちらが今回の主役であるドラムブレーキです。
パッと見では何がなんだか分からないって感じですよね。
それもそのはず、密封されているのがドラムブレーキですのでパッと見では何も分からなくて当然です。
ドラムブレーキはカバー(ドラム)を取り外さないと何も見えません。
外からは見えないですが、中にはちゃんとブレーキ機構が入っています。
これだけで、いかにディスクブレーキが放熱性が良いか分かりますね♪
いかがでしたでしょうか???
ドラムブレーキをパッと見ただけでは、とてもブレーキ装置だとは思えないほど
何もわかりませんよね。
まさかこれだけで終わるなんてしませんよ(汗)
ちゃんとドラムブレーキの内部構造を皆様にお見せするために、ちょっと錆び付いて普通には外れませんで
したが、近所の洗車場で取り外してきました。
もちろん洗車は自宅でしていきましたので、洗車場の方ごめんなさい。
ただ単に場所を借りただけです。次行く時は何かお金使います(汗)
という事で、初めて見る方も多いでしょう!これがドラムブレーキです!!!
ドラムブレーキの内部構造です。
おおお!
と思っていただきたかったのですが、ハブ(一番手前の銀色の円部分)が邪魔してあまり見えませんね…。
先ほどの写真に写っていた黒い蓋(ブレーキドラム)を外すとこんな感じになっています。
徐々に角度を変えた写真を説明と連動させてお見せしていきますのでご安心ください。
※運が良ければブレーキドラムは手で手前に引けば簡単に取れますので、機会があればチャレンジしてみてください。
いやぁ、非常に分かりやすい画像ですね〜(笑)
という事で、まずはドラムブレーキ各部の名称と形状を一致させましょう。
同時にそれぞれの役割を説明していきます。
ドラムブレーキは主に
・ホイールシリンダ
・ブレーキシュー(ライニング)
・ブレーキドラム
・リターンスプリング
という部品で構成されています。
ドラムブレーキの構成部品とは言いにくいのですが、間違いなくドラムブレーキの中に組み込まれていますので
・サイドブレーキ(パーキングブレーキ)ケーブル
も仲間に入れてあげましょうかね。
という事で、それぞれの部品形状と役割をご覧ください。
ホイールシリンダです。
こちらがホイールシリンダと呼ばれる部品です。
ブレーキペダルを踏み込む事でブレーキフルード(ブレーキ液)が加圧され、その圧力がホイールシリンダに
伝わります。そしてホイールシリンダの両端にあるピストンが押されて左右に飛び出します。
ブレーキシュー(ライニング)
ホイールシリンダのピストンに押され、ディスクブレーキで例えればブレーキパッドと同じ役割をしている
左右のブレーキシューが開きます。
ブレーキドラムの内側
ブレーキシューが開く事により、周囲を囲んでいるブレーキドラム(黒い蓋)の内側に当たります。
内側にブレーキシューが当たるという事はブレーキが効くという事ですね。
ディスクブレーキで例えれば、ブレーキパッドがブレーキディスクを挟んだ状態という事です。
リターンスプリング
ブレーキペダルを放すとブレーキフルードの圧が無くなり、ホイールシリンダピストンはブレーキシュー
を開こうとする力(押し出す力)を失います。
すると、左右のブレーキシューをつないでいるリターンスプリングの力でブレーキシューが内側に戻り、
ホイールシリンダピストンも強制的に押し込まれる事になります。
ちなみにサイドブレーキ(パーキングブレーキ)ですが、サイドブレーキを引く事でブレーキシューに
つながれているワイヤーが引っ張られ、強制的にブレーキシューが開きます。
パーキングブレーキケーブル
ブレーキシューが開くという事はブレーキを踏んでいる事と同じですので、ブレーキペダルを踏まなくても
強制的にブレーキを掛ける事ができるという事ですね。
ご覧いただいた内容をまとめますと、
ブレーキを踏む⇒ブレーキフルードが加圧される⇒ホイールシリンダピストンが飛び出る
⇒ブレーキシューが押されて開く⇒ブレーキドラムと接触する⇒ブレーキが効く
という流れです。
ブレーキシューとブレーキドラムのすき間はかなりギリギリに調整されていますので、
ブレーキシューがほんの数ミリ開くだけで接触します。
見た目は非常に複雑そうに見えるドラムブレーキですが、実際の作動は非常に単純な動きしかしません。
ディスクブレーキとの一番大きな違いはブレーキドラムによって密封されているという事でしょう。
構造上の理由で密封されてしまうのですが、そのせいで非常に熱がこもって放熱する事が困難な構造です。
※水がドラム内に浸入する事でブレーキの効きが著しく悪くなるため、あえて密封されています。
ドラムブレーキはサイドブレーキとして利用すると非常に便利な構造ですので、後ブレーキがディスクブレーキ
であっても、サイドブレーキ用としてドラムブレーキを装備している車(ドラムインディスク)も多数見かけます。
ディスクブレーキが主流になったとはいえ、まだまだ活躍しています。
ちなみに、サイドブレーキを引いたまま走行するとブレーキが無くなったりブレーキが効かなくなったりすると
以前お話しした事がありますが、
「サイドブレーキを引くと強制的にブレーキシューが開く」
という事を踏まえれば当然ですよね。
要はブレーキシューとブレーキドラムが接触した状態で走行してしまう訳ですから、ブレーキシューがどんどん
減っていくと同時にドラムブレーキの温度がどんどん上昇し、ホイールシリンダからブレーキフルードへ
高熱が伝わって最終的には「ブレーキフルードが沸騰⇒ブレーキが効かない」という状態になってしまうのです。
くれぐれも「サイドブレーキ引きっぱなし走行」にはご注意を!
NEXT⇒ブレーキフルードへ
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